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つばめ先生のなるほど税金学 第15回
消費増税に備えて---軽減税率とは?

更新日:2019年9月24日

10月1日からの消費増税がいよいよ目前に迫ってきました。聞きなれない「軽減税率」という言葉が連日メディアを賑わせていますが、われわれ一般人には正確にはよくわからないというのが実情でしょう。今回は「軽減税率」について、税理士のつばめ先生こと、つばめ税理士事務所の渡邉久嗣(わたなべひさし)先生に分かりやすく教えていただきます。

令和元年10月1日から消費税率が10%に引き上げられるのに合わせ、8%の軽減税率が導入されます。今回は、軽減税率についてご説明したいと思います。
※本稿は、国税庁令和元年7月改訂の「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」等の最新の情報を基に書いておりますが、その後に国税庁から新見解が公表される可能性もあることをご了承ください。

軽減税率の対象

軽減税率の対象となるのは
① 飲食料品の購入、輸入
② 定期購読の新聞の購入
です。

軽減税率(8%)が適用される飲食料品の範囲

・人の飲用又は食用に供されるものです
・食品添加物も含みます
・医薬品、医薬部外品、再生医療等製品、酒類は除かれます

人の飲用または食用に供されるもの

お店の側が人の飲用または食用として販売すれば、軽減税率(8%)の対象になります。ペットフードとして販売されている食品は標準税率になりますが、米、野菜、肉、魚、パン、総菜、調味料、弁当など、人の飲用または食用として販売されているものは幅広く8%です。健康食品も医薬品等に該当しないものであれば8%です。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
鮮魚 熱帯魚(熱帯魚は観賞用であり、食用ではない)
ミネラルウオーター 水道水
飲料に入れることを目的に販売される氷 ドライアイス
食品添加物の金箔 金地金、純金の美術品
製菓の材料用として販売されるかぼちゃの種(人の食用として販売されるから) 野菜の種(栽培用として販売されるから)


ミネラルウオーターは8%で、水道水は10%ということには違和感があるかもしれません。これは、水道はお風呂や洗濯にも使うからということのようです。

保冷剤や送料の代金を別途支払う場合

飲食料品を購入する際に保冷剤をつけてもらったり、地方発送を依頼したりすることもあると思いますが、これらの料金を別途払う場合、それらの分は10%となります。
ケーキ屋さんで例えると、ケーキは8%、保冷剤が別途有料であれば、(たとえ1個10円であっても)その分は10%となります。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
食料品の購入 別途払うラッピング料、保冷剤等の費用、送料


一方で、保冷剤がサービスでついている場合は、商品全体が軽減税率のままで大丈夫です。こんな細かいこともまじめに国税庁のQ&Aに書かれています。

清涼飲料水は8%、医薬部外品は10%

一部ではCとDとで大違いと言われております。医薬部外品に指定されている栄養ドリンクは標準税率です。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
清涼飲料水
オロナミンCなど
医薬部外品
リポビタンDなど

酒類

酒税法に規定する酒類(アルコール度数が1度以上のものをいいます)は標準税率です。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
みりん風調味料 みりん(料理用でも標準税率)
ノンアルコールビールや甘酒でアルコール度数1度未満のもの ビール、発泡酒
料理酒(食塩などを加えて飲用できないようにしたもの) 日本酒

外食は標準税率、持ち帰りと出前は軽減税率

蕎麦屋さんの店内で食べると10%、同じお蕎麦を出前で頼むと8%ということにびっくりするかもしれません。出前のほうが税率が安い……。外食産業では、外食よりも中食(なかしょく:お弁当や総菜などを買って自宅でたべること)に力を入れる動きが出ています。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
弁当や総菜の持ち帰り
出前、宅配
店内、フードコート、イートインスペースでの飲食(立ち食い形式やセルフサービス形式のお店でも10%です)
出前、宅配 ケータリング、出張料理


ハンバーガーショップやイートインスペースのあるコンビニエンスストアのように店内飲食と持ち帰りの両方をしている店では、店内で飲食をするならば10%、持ち帰るならば8%となります。これからは、「いらっしゃいませ、お持ち帰りですか? 店内でお召し上がりですか?」とお客様の意思を確認することが、消費税的には大変重要です。

ところで、会計時には「持ち帰りにします」と答えましたが、急にお腹が空いてきて家まで我慢できない!やっぱり店内で食べたい!! となったらどうなるのでしょうか。これは、お店の人が意思を確認したときで決まるということになっています。なので、変更しても消費税の差額を払う必要はないわけです。

飲食店側もこの点で混乱することを大変心配しているようです。店内飲食でも持ち帰りででも同一価格とすることを決めたチェーン店もあります(この場合、お客様からいただく代金は同一価格でも、お店側では店内飲食分と持ち帰り分を区分して適正に申告することになります)。

お店の人が意思を確認したときと書きましたが、例えばこんなことも……

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
・寿司屋さんで食事をした帰りに、お土産用の折詰を頼んだ。 ・店内で食べるつもりで注文したが、食べ残した分をパックに詰めて家に持ち帰ることにした。
・ハンバーガーとドリンクのセット商品について、飲み物だけを店内で飲み、ハンバーガーは持ち帰りたいと申し出ても、セット全体は10%。

屋台や移動販売車での飲食品の購入は?

屋台といっても様々な営業形態があります。お祭りの焼きそば屋さんのように飲食設備(椅子やテーブル、カウンターなど)がないなら8%、おでん屋さん、ラーメン屋さんの屋台のように飲食設備があるなら10%です。

オフィス街では、お昼になると移動販売車が営業している光景を見受けます。オフィスに持ち帰るのならば、8%です。では、近くのベンチで食べると……

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
屋台や車の近くに、市が設置した誰でも座ることができるベンチがある。また、販売者と設備(ベンチ)設置者との間で特に利用の合意(使用許可)はない。 屋台や車の近くに、販売者が設置(※)した椅子やテーブルが置いてある。
※販売者以外の人が設置した設備でも、販売者がその設備設置者から使用許可を取っていれば、10%です。

列車の車内販売は?

車内販売でお弁当を買った場合、買い方次第では税率が異なることになります。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
お弁当や飲料は原則8%ですが、右欄のケースは10%になります。 ・お酒の販売
・飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で食事をする。
・座席等で飲食をするために事前に食事の予約をする。


小田急ロマンスカーは「飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じてその座席等で食事をする」に該当するようで、ホームページで軽減税率の対象外(つまり、税率10%)であることを記載しています。
https://www.odakyu.jp/romancecar/features/food_menu/

JR西日本では、山陽新幹線でお弁当を座席まで届けてくれるサービスがあります。
https://ekiben-deli.com/
このサービスは「座席等で飲食をするために事前に食事の予約をする」に該当するので、税率10%になります。

ホテル・旅館での飲食

同じ飲み物でも買い方次第で税率が変わります。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
・部屋の冷蔵庫のジュースを飲んだ
・ホテル内の自動販売機でジュース買った
ルームサービスで部屋に食事を取り寄せる


部屋の冷蔵庫でも自動販売機でも、お酒であれば標準税率です。

アウトドアでの飲食

てぶらバーベキューのように外食サービスの提供とみなされる場合は軽減税率の対象となりません。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
収穫した果物等について別途対価を徴収している場合のその対価は、食料品の購入と考えて8% 果物狩り、潮干狩り、釣り堀の入園料
(施設利用料と考える)
てぶらバーベキュー施設は入場料のほかに別途食材代を払っていても、全体が標準税率

食料品とその他の品のセット販売の税率

例えば、お菓子と玩具がセットで販売されている、紅茶とティーカップをセットで販売しているような場合の扱いです。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
個々の価格が提示されていれば、食料品部分が8%、その他部分は10%となります。 セット全体の価格のみが提示されている場合はセット価格全体に10%を適用します。
セット価格が税抜1万円以下であり、食品の占める割合が2/3以上であれば、
セット価格全体に8%を適用します。


期間限定で飲料におまけの商品(キーホルダーやミニチュア、グラスなど)が付き、価格が通常商品と同じなどということがあります。この場合、おまけの商品の有無で飲料の値段が変わらないことから、おまけ商品の価格は0円のセット商品ということで、セット価格が1万円以下であれば全体が8%になります。

軽減税率が適用される新聞の範囲

軽減税率(8%)が適用される新聞は、定期購読が締結された週2回以上発行される新聞です。週2回以上発行される新聞であれば、全国紙、地方紙、スポーツ新聞、業界紙、外国語新聞といったジャンルを問わず8%です。
ただし、定期購読が要件ですので、駅の売店で購入するものは標準税率(10%)になります。

軽減税率(8%) 標準税率(10%)
週2回以上発行する新聞の定期購読 ・週1回発行の新聞の定期購読
・売店で1部だけ購入
・電子版
・雑誌・書籍


安く買い物をしたいという点では軽減税率は歓迎すべきものですが、線引きの境界にあいまいな点があるように感じます。線引きをする以上、割り切りが必要と納得するしかないのでしょうか。
当初は混乱が予想されますが、合法的に賢く節税したいものです。



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2014年2月27日
harakana さん

医療費控除のこと、まさに「なるほど!」と勉強になりました。

難しい税金についてわかりやすい説明ありがとうございます。

つばめ先生、今後の連載も楽しみにしています〜!

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