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なるほどマネー学

つばめ先生のなるほど税金学 第13回
退職金への課税

更新日:2018年8月20日

サラリーマンや公務員などの給与所得者には通常、退職時に退職金が支給されます。これはその後の生活を支える大切な、いわば「虎の子」です。その虎の子にはどのくらいの税金が課されるのでしょうか。つばめ先生ことつばめ税理士法人の渡邉久嗣先生に教えていただきます。

退職金に対する課税の特徴


退職金は、他の所得とは合算せず、単独で税額計算を行います。
給与、年金、事業、不動産収入などは、合算して所得税の計算を行い、所得が大きいと税率も高くなる仕組み(これを超過累進税率といいます)が採られていますが、退職金については、他の所得と合算することなく、単独で税額計算を行います。
他にも、退職金の税額計算には次のような特色があります。

・勤続年数に応じて、退職所得控除額(課税されない金額)が増えます
・課税対象額は、原則(退職金の額-退職所得控除額)×1/2です
・会社で手続きを適正に行えば、所得税、住民税が源泉徴収されるので、退職所得について確定申告は不要になります

退職金にはいくら課税されるの? Aさんの場合


次の例を使って、実際の税額、手取り額がいくらになるか計算してみましょう。

Aさんは、40年3ヶ月勤めた会社を今月で退職します。
会社の規定では、退職金が3,000万円支給される予定です。
手取り額はいくらでしょうか。

    1) まず、退職所得控除額を求めます。退職所得控除額は、退職金を受け取る会社の勤続年数に応じて決まります。

       
勤続年数退職所得控除額
20年以下400,000円×勤続年数 または
800,000円のいずれか大きい金額
20年超 8,000,000円+700,000円×(勤続年数-20年)


上記の表でわかるように、控除額は、20年目までは毎年40万円ずつ増え、その後は毎年70万円ずつ控除額が増えます。
また、勤続年数は1年未満の端数があるときは、切り上げます。今回の例では、勤続年数が40年3ヶ月ですので、端数を切り上げ41年で計算します。従って退職所得控除額は次の通りです。

8,000,000円+700,000円×(41年-20年)=22,700,000円


※障害者になったことに直接起因して退職した場合には、上記の控除額に100万円が加算されます。また、同一年に2ヶ所以上から退職金を受け取った場合や退職金を受け取った年の前年以前4年以内に他の会社から退職金を受け取った場合などには、退職所得控除額の計算に特例があります。


    2) 次に課税対象額がいくらかを求めます。課税対象額は、原則、(退職金の額-退職所得控除額)×1/2です。

1)より、退職所得控除額は22,700,000円と求めましたので、課税対象総額は

(30,000,000円-22,700,000円)×1/2=3,650,000円


となります(千円未満は切り捨てになります)。つまり、退職金3,000万円のうち、課税対象となるのは、365万円となり、ここに税率を掛けて税額を計算します。

※原則は(退職金の額-退職所得控除額)に1/2を掛けますが、法人の役員、議員(国会議員、地方公共団体の議員)、公務員(国家公務員、地方公務員)が勤続年数5年以下で退職する場合には、1/2を掛けません。これは、定年後に子会社や関連団体などの役員を短期間勤めて退職の都度退職金を得る者(こういう方を「渡り鳥」などというようです)に対して課税を強化する目的と言われています。


    3) 上記に基づき、税額を計算します。

所得税は以下の速算表を用いて計算します。Aさんの場合、課税される所得金額が365万円ですので、所得税の税率は20%となります。

(平成27年分以降の速算表)

所得税の速算表



最終的に、退職金に付随して支払う税金の総額は以下のように求められます。
    ①所得税
  • 3,650,000円×20%-427,500円=302,500円
    ②復興特別所得税
  • 復興特別所得税は所得税の2.1%です。
    302,500円×2.1%=6,352円(1円未満切り捨て)
    ③住民税(都道府県民税:4%)
  • 3,650,000円×4%=146,000円
    ④住民税(市町村民税:6%)
  • 3,650,000円×6%=219,000円
    ⑤①~④を合計します。
  • 302,500円+6,352円+146,000円+219,000円=673,852円

よって手取り額は、

30,000,000円-673,852円=29,326,148円


となります。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば確定申告不要


では、退職金の税金はいつ払うのでしょうか。
退職時に会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職金支給時に会社が税金を計算し、源泉徴収します。会社はこの源泉徴収した税金を翌月10日までに税務署等に納税しますので、退職者は「退職所得」については、別途確定申告をする必要はありません。
しかし、この「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、「退職所得」も翌年に確定申告する必要があります。

住民税は遅れてやって来る


会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、「退職所得」については、別途確定申告をする必要はありません。と書きました。ここで「退職所得」については、と強調したのは、退職所得以外の給与、年金、事業などの所得は申告が必要だからです。
例えば、7月に定年を迎え、その後は収入がない方でも申告は必要です。会社員時代は、年末調整で会社が税金を計算してくれた場合でも、退職した年分の所得は自分で申告する必要があります(同一年に再就職した場合は、前の勤務先の収入と新たな勤務先の収入を合算して年末調整することができるので、経理担当者に聞いてみてください)。

更に気を付けたいのは、確定申告をして納税するのは、退職年の翌年ということです。
さきほど述べたように退職金に係る税金は退職時に源泉徴収されているのですが、その他の収入の分の申告・納税は、翌年になります。同様に国民健康保険料や介護保険料も前年の所得に応じて保険料が決まりますので、併せて退職年の翌年の支出に注意が必要でしょう。

退職金はまとまったお金が入ってくる数少ない機会です。
貯蓄+退職金+今後の年金収入+今後の収入予定(再雇用による収入など)と今後の支出の予定といったセカンドライフの予算をしっかり計算することが必要でしょう。



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2014年2月27日
harakana さん

医療費控除のこと、まさに「なるほど!」と勉強になりました。

難しい税金についてわかりやすい説明ありがとうございます。

つばめ先生、今後の連載も楽しみにしています〜!

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