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なるほどマネー学

つばめ先生のなるほど税金学 第10回
贈与税 Vol.5

更新日:2017年2月17日

つばめ先生ことつばめ税理士事務所の渡邉久嗣先生に、贈与税について教えていただいていますが、今回は、直系の尊属から、結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合について詳しく教えていただきます。

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税


直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税とは、祖父母や父母が、20歳以上50歳未満の子や孫の結婚・子育て資金を贈与した場合、受贈者1人につき1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円)までが非課税となる制度です。

1 あらまし 

  • (1)平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に
  • (2)20歳以上50歳未満の者が結婚・子育て資金に充てるために
  • (3)直系尊属(自分の父母、祖父母、養父母など)から
  • (4)次のいずれかに該当する場合
  • ① その直系尊属と信託会社との間の結婚・子育て資金管理契約に基づき信託の受益権を取得した場合
  • ② その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を結婚・子育て資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預金若しくは貯金として預入をした場合
  • ③ 結婚・子育て資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与に取得した金銭等で金融商品取引業者の営業所等において有価証券を購入した場合
  • (5)①の場合はその信託受益権、②の場合にはその金銭、③の場合はその金銭等のうち1,000万円までの金額は贈与税が非課税となります。ただし、結婚に関して支払われる金銭については300万円が限度となります。

2 銀行に預金をした場合の流れ


  • ここでは、父が子に結婚・子育て資金を贈与して銀行に預金するケースを例にご説明します。
  • (1)父と子の間で贈与契約書を書面で締結し、金銭の贈与をします。
  • (2)銀行と結婚・子育て資金管理契約を締結します。
  • ※複数の結婚・子育て資金管理契約を締結することはできません。
  • (3)「結婚・子育て資金非課税申告書」を、金融機関を経由して税務署で提出します。
  • ※税務署に出向く必要はありません。
  • (4)結婚・子育て資金を支出します。
  • (5)結婚・子育て資金の領収書を銀行に提出して払い戻しを受けます。

3 結婚・子育て資金の範囲


  • 結婚に関連する費用の範囲
  • ① 挙式・披露宴費用
  • 挙式や披露宴を開催するために必要な費用が対象となります。引き出物や招待状の作成費用なども対象となります。ただし、入籍日の1年前からあとに支払ったものが対象となります。
  • ② 新居費用
  • 新居の費用として対象となる条件には以下のものがあります。 
  • 結婚を機に、受贈者が新たな物件を賃借すること
  • 契約の締結日が入籍日の前後各1年の期間内であること
  • 受贈者の名義で契約を締結すること
  • 賃貸借契約締結の日から3年以内に支払われたものであること
  • ③ 引越費用
  • 受贈者本人の引越しを業者に頼んだ場合が対象となります。配偶者の引越し費用は対象外です。また対象となる引越し業者は、運輸局の許可を受けた運送業者に限定されています。
  • (1)妊娠・出産に関連する費用の範囲
  • 受贈者が未婚であっても対象となります。
  • また、受贈者の配偶者(法律上の婚姻関係になる者)のための費用でも対象となります。この場合、支払時に未婚であっても、金融機関等に領収書を提出する時点で配偶者となっていれば対象となります。
  • ① 不妊治療のための費用
  • ② 妊娠に関連する費用
  • ③ 出産のための費用
  • ④産後ケアのための費用
  • (1)育児にかかる費用の範囲
  • ① 子の医療費のための費用
  • 小学校就学前の子(法律上の「子」をいい、配偶者の子を養子縁組した場合、認知した場合を含みます)のために要した医療費が対象となります
  • ② 子の育児のための費用
  • 小学校就学前の子(法律上の「子」をいい、配偶者の子を養子縁組した場合、認知した場合を含みます)のために要した下記の費用が対象となります。また、対象となる支払先は学校教育法や児童福祉法に基づく施設に限定されています。
  • 4 契約の終了 


      結婚・子育て資金管理契約は次のいずれか早い日に終了します。
    • (1)受贈者(子や孫)の50歳の誕生日の前日
    • (2)受贈者が死亡した日
    • (3)結婚・子育て資金管理契約に基づき金融期間に預けていた資産の価額が0になった場合で、金融機関との合意により契約終了となった日


    5 受贈者が50歳になった場合の扱い


    • (1)贈与税が課税される
    • 受贈者の50歳の誕生日の前日で結婚・子育て資金管理契約が終了します。この段階で残額(=専用口座に預け入れられた金額-結婚・子育て費用のために支出した金額)がある場合には、その残額について贈与税が課されます。
    • 例えば、父から1,000万円の贈与を受け、そこから結婚・子育て資金として300万円を支出したとします。この300万円について贈与税は課税されませんが、残額の700万円については、結婚・子育て資金管理契約終了日の法令による贈与税が課税されます。また、贈与者が契約終了日以前に死亡している場合でも同じ扱いになります。
    • (2)契約終了から3年以内に贈与者が亡くなった場合
    • 上記(1)で贈与税が課税され、かつ、その契約終了日から3年以内に贈与者が死亡した場合には、生前贈与加算の適用があります。

    • 6 受贈者が死亡した場合の扱い 

      受贈者が死亡した場合には結婚・子育て資金管理契約は終了します。この段階で残額がある場合でも贈与税の課税は生じません。ただし、この残額は受贈者の相続財産となりますので、相続税の課税対象となります。

      7 結婚・子育て資金管理契約に基づき金融期間に預けていた資産の価額が0になった場合で、金融機関との合意により契約終了となった日の扱い  

      簡単にいうと、預金残高が0になったということです。ただし、引出額のうち結婚・子育て資金管理契約に該当しないものがあった場合、その結婚・子育て資金管理契約に該当しない部分には贈与税が課税されます(この場合は実際の贈与日ではなく、結婚・子育て資金管理契約終了日の法令による贈与税が課税されます)。

      8 結婚・子育て資金管理契約の終了の前に贈与者が死亡した場合

    • (1)残額は相続税の課税対象になる
    • 結婚・子育て資金管理契約が終了する前に贈与者が死亡した場合には、資金の残額(=専用口座に預け入れられた金額-結婚・子育て費用のために支出した金額)が相続税の課税対象となります。
    • この点が教育資金の一括贈与と大きく違うところです(教育資金管理契約の場合には、残額については贈与者の相続税の計算には関係させません)。贈与者が亡くなる前に受贈者は資金を使わないと節税効果を十分に生かせないことがあるので、注意が必要です。
    • (2)2割加算の適用がない
    • 相続または遺贈で財産を取得した者と被相続人の関係が、配偶者または1親等の血族以外の関係であれば、原則としてその者に課税される相続税は、通常の相続税に2割が加算されます。しかし、(1)によりこの残額に課税される相続税については、2割加算は適用されません。例えば祖父母から孫に現金を遺贈した場合の相続税は2割加算の対象となりますが、この制度による贈与を受けた残額分に課税される相続税については2割加算の適用となりません。
    • (3)生前贈与加算との関係
    • 受贈者がこの残額以外に相続税の課税対象となる財産を取得しない場合には、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産を相続税の課税対象とする規定を適用しません。

    • 9 メリット、デメリットを考える

    • (1)その都度贈与したら非課税
    • 結婚や子育ての費用をその都度贈与すれば、そもそも非課税です。この制度は一度に多額の資金を贈与しても非課税であることに特色があります。
    • (2)贈与者が死亡すると相続税がかかる
    • 贈与者が死亡すると、残額については相続税の課税対象となります。これは最大のデメリットです。節税目的としては使い勝手が悪いといえます。
    • (3)2割加算は適用がない
    • その一方で、孫への贈与は2割加算がありません。そこで、孫への贈与にこの制度を利用して節税をはかるという方法が考えられます。



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2014年2月27日
harakana さん

医療費控除のこと、まさに「なるほど!」と勉強になりました。

難しい税金についてわかりやすい説明ありがとうございます。

つばめ先生、今後の連載も楽しみにしています〜!

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