ホーム > つばめ先生のなるほど税金学 第8回 贈与税 Vol.3

なるほどマネー学

つばめ先生のなるほど税金学 第8回
贈与税 Vol.3

更新日:2016年2月18日

つばめ先生ことつばめ税理士事務所の渡邉久嗣先生に、贈与税について教えていただいていますが、今回は、直系の尊属から、住宅取得資金として一定の贈与を受けた場合について詳しく教えていただきます。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税


前回は、贈与税がかからないケースをご紹介しました。今回はその中の、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」についてお話します。

1 あらまし 


  • (1)平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に
  • (2)直系尊属(自分の父母、祖父母、養父母など)から
  • (3)住宅の取得や増改築をするための資金の贈与を受け
  • (4)贈与を受けた年の翌年3月15日までにその資金で住宅の新築や取得、増改築をして
  • (5)贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅を自己が居住すること又は同日後、遅滞なく居住することが確実と見込まれるとき
  • (6)贈与を受けた金額のうち、一定金額が非課税となります。

2 非課税限度額 


非課税限度額となる金額は、①適用される消費税率、②住宅の取得や増改築の契約締結日(居住日ではありません)、③住宅の種類によって異なります。
非課税限度額は贈与を受けた者1人当たりの限度額です。父と母の2人から贈与を受けたから非課税限度額が下表の2倍になるということではありません。

表1:住宅の取得等の費用の消費税率が10%である場合

表2:住宅の取得等の費用の消費税率が上記以外の場合


●良質な住宅家屋とは
上記の表内にある「良質な住宅用家屋」とは、次のいずれかの住宅をいいます。
① 断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上相当である住宅用家屋
② 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物の住宅用家屋
③ 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上である住宅用家屋

    ●消費税の税率と非課税限度額の関係
  • ① 現在の消費税率は8%ですが、平成29年4月1日(以下「施行日」といいます)から10%になることが予定されています。住宅の場合も、引き渡しが施行日以降であれば、税率は原則10%になります。
    5%(前回の経過措置による)又は8%であれば表2が、10%であれば表1が適用されます。
  • ② 経過措置として、平成28年9月30日までに建築(増改築も含まれます)の請負契約を締結した場合には、引き渡しが施行日以後であっても税率は10%になります。なお、売買契約は経過措置の対象になりません。
  • ③ 中古住宅を個人売買(相手が業者である場合は除きます。)で取得した場合、消費税はかかりません。この場合、非課税限度額は表2が適用されます。

  • ●2年にまたがり、贈与を受ける場合の非課税限度額
  • ① 設例
    • イ 良質な住宅家屋の新築請負契約を平成27年に締結した。
    • ロ 実父から、平成27年に手付金や中間決済のための資金として1,000万円、翌平成28年に最終決済金のための資金として700万円の贈与を受けた。
    • ハ 住宅は平成28年2月に完成し、3月1日から居住している。
  • ② 非課税限度額について
    • 平成27年に契約を締結していますので、表2の適用となり、非課税限度額は1,500万円です。
    • イ 平成27年
      1,000万円全額が非課税となります。
    • ロ 平成28年
      前年に非課税となった金額を控除した残額が非課税限度額となります。
      設例では、1,500万円-1,000万円=500万円が非課税限度額となります。
  • ③ 注意点
    • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅が完成(取得の場合には引渡が完了)していることが必要です。本設例では住宅が2月に完成していますが、完成が3月16日以降ですと、平成27年分の贈与については、非課税の適用を受けることができません。

3 贈与を受けた者の要件 


  • (1)次のいずれかに該当すること。
    • ① 贈与を受けた時に日本国内に住所があること。
    • ② ①に該当しないが、日本国籍を有していて、かつ、受贈者又は贈与者が、その贈与前5年以内に日本国内に住所を有していたことがあること。
    • ③ ①にも②にも該当しないが、贈与者が日本国内に住所を有していること。
  • (2)贈与を受けた時に贈与者の子や孫など(直径卑属)であること。
    • ※贈与者からみて子や孫の配偶者(つまり、義理の息子や娘)は含まれません。
    • ※贈与者の養子も対象になります。
  • (3)贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
  • (4)贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
    • ※合計所得金額とは、各種所得の金額を合算した金額(赤字がある場合には、損益通算した後の金額)で、前年までの損失について繰越控除の適用を受ける前の金額をいいます。この場合、預貯金の利子など源泉分離課税となるものは、含まれません
    • ※所得が給与所得のみの方の場合は、以下の収入の方が対象となります。
      • 平成27年 給与収入2,245万円以下
      • 平成28年 給与収入2,230万円以下
      • 平成29年 給与収入2,220万円以下
  • (5)贈与を受けた年の翌年3月 15 日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
    • ※家屋そのものの贈与や住宅ローンを返済するための資金の贈与は対象になりません。
  • (6)贈与を受けた年の翌年3月 15 日までにその家屋に居住すること、又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
    • ※「遅滞なく」は贈与を受けた年の翌年12月31日までとされています。贈与を受けた年の翌年3月15日までに新築等をしていれば、住むのは贈与の翌年中で良いということになります。
    • ※贈与を受けた年の翌年12月31日までに居住していないときは、この非課税の制度の適用はありません。
  • (7)受贈者の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある方から住宅用の家屋を取得したものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
  • (8)平成 26 年分以前の年分において、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の適用を受けたことがないこと。

4 新築住宅の要件 


    新築住宅(新築の分譲住宅・マンション、注文住宅)の場合には、次のすべての要件を満たす家屋が対象となります。
  • (1)日本国内にある家屋であること。
  • (2)居住の用に供する家屋が2以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる1つの家屋であること。
    • ※仕事の都合などで2か所に家を所有していて、平日は仙台の家、休日は東京の家で過ごす。家族は普段から東京の家で生活しているという場合は、仙台の家も東京の家も居住の用に供する家屋となりますが、その場合は、どちらか1つの家屋だけが対象になる、ということです。なお、別荘はそもそも居住の用の家屋ではないので、対象になりません。
  • (3)登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
  • (4)床面積の1/2以上が居住用であること。
    • ※店舗併用住宅などで店舗部分の割合が大きい家屋は対象外となります。

5 中古住宅の要件 


    中古住宅の場合には、上記4の要件に加え、次の(1)から(4)のいずれかの要件を満たす必要があります。
  • (1)耐火建築物である家屋の場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
    • ※耐火建築物とは、登記簿に記載された家屋の構造が石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造である建物をいいます。
  • (2)耐火建築物以外の家屋の場合には、その取得の日以前20年以内に建築されたものであること。
  • (3)耐震基準に適合する家屋であることが次の書類により証明されること。
    • ①耐震基準適合証明書
    • ②建設住宅性能評価書の写し
    • ※耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)1、2又は3であるものに限ります。
    • ③既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類
  • (4)(1)から(3)に該当しない場合には、一定の手続きのあとに耐震改修工事を行い、その工事により耐震基準に適合する家屋となったことが一定の書類により証明されること。

6 増改築等の要件 


    増改築等の場合には、次のすべての要件を満たす家屋が対象となります。
  • (1)日本国内にある家屋であること。
  • (2)贈与を受けた者が主として居住の用に供するものであると認められる家屋であること。
  • (3)増改築等後の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
  • (4)増改築等後の床面積の1/2以上が居住用であること。
  • (5)増改築等の工事費用の額が100万円以上であること。
    • ※居住用部分以外の増改築等も行った場合には、全体の工事費用の1/2以上が居住用部分の工事費でないといけません。
  • (6)増改築等の工事が一定の要件に該当する工事であることについて一定の書類により証明されること。

7 歴年贈与の110万円と併用できる 


暦年贈与制度の基礎控除額は110万円と、本特例とは併用できます。表1又は表2による非課税限度額が1,000万円のケースでは、最大で110万円+1,000万円=1,110万円の贈与までは納税が生じないことになります。

8 相続時精算課税とも併用できる  


相続時精算課税制度の2,500万円までの特別控除と本特例とは併用できます。表1又は表2による非課税限度額が1,000万円のケースでは、最大で2,500万円+1,000万円=3,500万円の贈与までは納税が生じないことになります。

9 相続財産に加算しない 


住宅所得資金を贈与した者が亡くなった場合、その亡くなった人の相続税を計算する際の本特例の適用を受けた住宅取得等資金の扱いですが、暦年課税、相続時精算課税いずれの場合であっても、相続税の課税課価格に算入しません。

10 申告が必要 


この規定の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の確定申告書に一定の事項を記載し、計算明細書、戸籍の謄本、登記事項証明書、請負契約書等の一定の書類と共に、受贈者の納税地(原則として住所地)を所轄する税務署に提出しなければなりません。なお、贈与額が非課税限度額以下であっても、申告書の提出が必要です。



投稿の方法はこちら

おしゃべりパーク
クチコミを投稿する
写真1
写真2
写真3

※写真は幅205pxにリサイズして表示されます。

2014年2月27日
harakana さん

医療費控除のこと、まさに「なるほど!」と勉強になりました。

難しい税金についてわかりやすい説明ありがとうございます。

つばめ先生、今後の連載も楽しみにしています〜!

Copyright © 2019 Health Scramble All Rights Reserved.