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添乗員見聞録Vol.8
砂漠の防衛都市ジェミラ(アルジェリア)

2012年12月12日

アフリカ大陸の北に位置するアルジェリアには古代ローマ遺跡やタッシリ・ナジェールの岩絵、厳格なイスラム教徒が暮らすムザブの谷といった素晴らしい世界遺産があります。これらアルジェリアの世界遺産の一番の特徴は未だに観光地化されておらず、本来の姿が残っていることです。

そんな手付かずのアルジェリアの世界遺産の中でも、私のイチ押し観光スポットは古代ローマのジェミラ遺跡。首都アルジェから東へ約380km、海岸からは200kmほど内陸に入った、標高900mの山間に突然現れたかのような孤立した遺跡です。

周辺を山々に囲まれた、朝のジェミラ遺跡にはピーンと張り詰めた冷気が漂っています。人っ子ひとりいない無人の古代遺跡を歩き始めました。

かつてこのアルジェリアを含めた北アフリカ一帯は「ローマの穀倉地」と呼ばれていました。その名残は今でも遺跡周辺の丘陵地帯に見渡す限り広がる小麦畑に見ることができます。古代にはこの豊かな穀倉地を狙って南の砂漠から遊牧民のトアレグ族が度々侵入を繰り返していました。ジェミラはこの豊かな穀倉地帯、ローマ帝国を守る最前線であり、防衛線上の砦として築かれました。以後、長年の間には退役ローマ兵たちが入植し、やがては一つの町となりました。最盛期の人口は推定1万5千人とも。

遺跡からの出土品を展示した遺跡博物館には、コインや劇場のチケット代わりに使われたジェトン(コイン型)や陶器を繋いだ水道管、手術のメスやピンセット、装飾具や床面を飾っていた優雅なモザイクなどが残っています。また屋外のフォールム(市場跡)にはラテン語で古代町名「植民都市クイクルム」と刻まれた石版、儀式の様子を刻み込んだ神殿前のいけにえ台やモザイク破片の散らばるバジリカ、石畳に残る馬車の轍、石をくり貫いた市場の計量器や石造りの店舗カウンター、浴場の床面にはタコや魚をあしらったモザイクなど、当時の生活の痕跡がそのままの状態で残っています。

本国イタリアにもローマ遺跡は数多くありますが、当時の人々の生活臭が色濃く残っているという点では、広大なローマ帝国域内といえども、アルジェリアのジェミラ遺跡はピカイチです。

今とさほど変わらぬ生活スタイルだった古代ローマ人。
遠い、遠い、古代のローマ帝国がより身近に感じられたジェミラ遺跡訪問でした。

記事提供:ユーラシア旅行社

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2019年9月2日
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