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江戸の味を今に伝えるよし梅

更新日:2015年12月14日

江戸料理の老舗よし梅は、昭和2年1月に創業しました。二代目の髙野享士社長が先代の跡を継いで、よし梅の社長を務めたのは、昭和46年、すでに44年も老舗の味を守り、よし梅を牽引していらっしゃいます。よし梅と人形町界隈の歴史についてうかがいました。

関東大震災後まもなく創業 戦争を経て現代まで

髙野享士 よし梅社長

創業当時は、私はまだ生まれていないから、母親に聞いた話になるんだけどね、このあたりは大正12年の関東大震災で、一帯焼野原になっちゃったんだ。うちの店の路地にある観音様だって焼けちゃったんだから。本店の建物はそれから3年後に建ったものなんだけど、まだまだ復興するのに大変だったんだよね。今みたいに建材も人手も集まらないし、そもそも今みたいに機械を使うわけじゃないからね。そういう時代にうちは創業したんだな。

その後、太平洋戦争に突入して、私は戦争中、埼玉に疎開をしていて、戻ってきたのは昭和20年。小学校1年生だったから、その頃の記憶はあるんだけど、この辺はだいたい芸者さんが住んでいて、朝から三味線とか鼓、笛の稽古をしている音が聞こえてきてね。粋な町だったんだけど、こんなところで70何年も生きてきて、遊び人にもならずにちゃんと生活してきたもんだなあ、と思うよ(笑)。

戦争では、ここは焼け残ったんだけど、周りはみんな焼けちゃった。焼け残ったところも建物疎開で強制的に壊されちゃって、このあたりの有名なお店もみんなつぶされちゃったの。戦争では、うちで働いていた人も徴集された人がずいぶんいてね。店から万歳三唱をして見送ったって、母親から聞いているよ。戦後、その人たちから聞いたところ、戦地で知り合った兵隊さんに、「人形町のよし梅、行ったことがあるよ」とか「よし梅によく通っていたよ」と話しかけられたそうで、懐かしがってもらっていたらしい。下町の味、江戸の味なんだよね。

江戸の味といえば、うちの名物に「ねぎま鍋」というのがあってね、これはネギとマグロを使っているから「ねぎま」っていうんだけど、焼き鳥でもネギマってあるけど、あれはまったく新しいもので、こっちのねぎま鍋は、江戸時代から続いているの。昔は冷蔵庫なんてないから、長い期間マグロを保存するなんてできないでしょ。獲れたときにどんどん食べないとしょうがない。マグロもだいぶ上がったときがあったから、刺身ばかりじゃそんなに食べられないので、どうやって食べたらいいか、考えてできたものなんだよ。江戸の近辺にネギ畑がいっぱいあったので、そこからネギをとってきて、鴨葱と同じ要領で、ネギマ鍋を作ったら、評判になったらしい。ねぎま鍋で使うのはマグロでもトロの部分、赤味がほんのり残る程度にダシで煮て食べるんだ。

マグロのトロを使った料理は、今では高級メニューと思われますが、江戸時代は脂の多いトロの部分は、庶民の味として親しまれ、あんこう鍋と並び江戸の二大鍋といわれていました。

今でも上野広小路なんて地名が残っているけど、広小路というのは大名行列が通る道で、道幅が広く作られていてね。大名行列がないときは、広い道をそのままにしておくのはもったいないから、寿司屋や天ぷら屋が屋台を出すようになって、ねぎま鍋も屋台で食べられていたんだよ。当時、ねぎま鍋っていうのは、落語になるくらい一般的で「ねぎまの殿様」という噺があるくらい。

うちは今でも冬になれば、8割9割のお客さんがねぎま鍋を食べにきてくださって、初めてのお客さんは「こんなにうまいものがあるんだ」ってびっくりしていますよ。ふだん刺身で食べているマグロがこんなに?! というくらい変わっちゃう。上品ないい味になる。

よし梅売店の魅力~気軽に和食を

よし梅の本店から日本橋方面にちょっと進んだところにあるよし梅の分店・芳町亭は、数寄屋造りの一軒家。こちらの建物は国の登録有形文化財に指定されています。今回ご紹介する売店は平成11年に出店されましたが、こちらの建物も、もともと芸者さんで三味線のお師匠さんだった方が住んでいたそうです。売店のほうは、よし梅の料理を気軽に食べてもらいたいという思いからできたそうです。
売店の責任者は、享士社長のお嬢さんの鎌田㐂子(かまた・よしこ)さん。売店の利用状況は普段はランチがメインで、お歳暮やお中元の時期には、鰆の西京味噌漬けなどの進物品が人気です。2階はカフェになっていてお昼どきは、売店で買ったものを食べたり、午後はお稽古帰りの方々がお茶を召し上がったりするそうです。また、夜は日替わりディナーセットとカレーセットが用意されています。㐂子さんに、よし梅の豊富なメニューについてうかがいました。

よし梅は和食の老舗ですが、売店で売られているお惣菜は、意外にも和洋折衷で、幅広いメニュー展開になっています。たとえば、うちの人気メニューのシュウマイにしても、本格的な中華料理とは違う感じかもしれません。でも、「おいしい」と評判になったので、アレンジを加えて海老シュウマイもメニューに加えました。そうしているうちにメニューが増えていくんです。

ランチは、近くにお勤めの若い方のご利用が多いのですが、お客様には年配の方もいらっしゃいます。夕食の準備は自分でするけど、もう一品欲しいというときに、買っていただけるような「おから」や「ひじきの煮物」も、もちろんご用意しています。また、最近は和食をよく知らない若い方もいらっしゃるので、うちは、そういう方にも気軽に和食を食べてもらえる場所でありたいんです。「和食? わかりません」ではさびしいですよね。新しいメニューも取り入れつつ、しっかり和食の文化を伝えていきたいと思います。

2階のカフェでお出ししているカレーセットも、和のお惣菜と合わせて食べられるようになっています。カレーセットというと、サラダとスープが一般的ですけど、お家でカレーを食べるときって、食卓にお新香があったり、煮物があったりするじゃないですか、そんな感覚で食べてもらえればと思っています。せっかく江戸の味を今に伝える和食の店なので、そういうセットってほかにはなくて、いいかな、と思っています。

また、当店では、昔のお母さんがお家で作っていたような和のお惣菜もお出ししています。あまり気取った感じのものではなく。ですが、防腐剤や添加物が入っているようなものは、やはり体にもよくないので、そういうものは使わず、ダシや素材を生かした味付けにしています。

和食以外でも魚介を使った料理でしたら、ブイヨンは海老の殻と野菜でとり、それをカレーやスープにも使うのです。カレーでも、エスニックなものはあまり調理に時間がかからないのですが、ブイヨンをとるところも考えると、結構、時間がかかっていますね。手間はかかりますが、海老の殻からとったブイヨンにはカルシウムも豊富ですし、からだにもいいと思うんですよ。だから、ここは手抜きをしない! と決めてやっています。

食べたもので人間はできている

最近、健康や美容への関心が高い人が多いですが、そういう方にはカレーやスープが人気です。先ほどもお話したようにブイヨンを使って作っていますが、海老の殻以外にも鶏ガラをベースにしたりと、栄養のバランスを考えて作っています。健康への意識を高めていただきたくて、値段表のところにひと言メッセージを書き添えています。たとえば、チキントマトカレーの値札には、「トマトのリコピンと鶏もも肉のビタミンAで抗酸化作用バッチリ!」というように。栄養と健康を考えて、お客様に食のアドバイスができるようになりたいと思って、勉強をしています。

豆乳に含まれるイソフラボンは女性によいといわれていますけど、摂りすぎはよくないし、すべてにおいてバランスが大切なんですね。野菜だって、サラダばかり食べていれば、からだが冷えちゃいますからね。これからの季節には、火を通した野菜をたっぷり摂れるスープのほうがよいですね。季節のものをしっかり食べるというのも基本です。せっかく四季のある日本に暮らしているのだから、季節の味を楽しみたいじゃないですか。

うちは、先ほどもお話しましたけど、しっかりダシをとり、素材本来の味を生かしているので、そんなに味は濃くないんです。ダシを使わなくても、食材を炒めて、煮るだけで、味がしっかり出るものもありますし、素材の味を引き出す調理をしています。

お店で、「今晩○○を作る予定なんだけど、もう一品どんなのがいい?」と聞かれることがあります。また、長く通っていただいているお客様ですと、糖尿病とかその方の健康状態をお聞きすることがあります。そういう場合は、健康状態を考慮して、アドバイスすることがあります。買っていただくのはありがたいんですが、「そんな食べてばかりいちゃダメ、ダメ」というときもあります(笑)。

うちのメニューに、牛肉とトマトを使った「ハリラ」というモロッコのスープがありますが、モロッコでは断食明けに食べるそうです。断食の後の空っぽの胃にも刺激が少なく、素早く栄養が吸収できるそうです。ハリラスープのレシピは特に決まりがなく、モロッコでもそれぞれのご家庭で違うそうです。うちでは、牛肉とトマト、それに豆類を入れ、タンパク質とビタミンのバランスを考えています。さらに、ちょっとショウガの風味をきかせています。

実は、当初、スープは売れなかったんです。うちは和の惣菜と思われていますから、お客様もそれを求めていらっしゃるので。もともとスープは私がトレーニング後に食べるものとして考案したんです。それをお店でも置くようにして、1年目くらいから徐々に売れるようになってきました。今は、スープを目当てに来てくださるお客様もいます。

健康維持には運動は大切です。私もトレーニングしていますが、せいぜい週に1回程度しか時間が取れなくて、それに比べて食事って1日に3回でしょ。それだけ、食事って体に影響を与えるものだと思います。人間は食べたものでできているわけですから。これからも体によく、おいしいメニューを展開し、皆さまに届けたいと思います。


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2019年6月10日
ブラック さん

愛犬もいつかは死んでしまいます。その時の悲しみを少しでも和らげることができたらいいですね。

2019年3月18日
事務局 さん

りょうさん


ありがとうございます。
核家族化はますます進んでいます。自分たちの親たちに頼りたくても頼れない、でも仕事もしなれければ生活ができない…色々な葛藤を抱えながら新米パパママたちは想像以上に奮闘していいます。

たまには甘えたい時があると思います。
そんな時は今回のコラムを少し思い出して参考にしていただければ幸いです。

2018年10月22日
りょう さん

 子育てが大変な時代、本日掲載された「孫が産まれる前から培うジジババ力」は参考になりました。ありがとうございました。

2015年8月24日
小春 さん

人形焼きの板倉屋さん。

おいしいお店ですよね。

昔からファンです!

2014年5月20日
bovsan さん

僕は、アトム。今年16歳になるサバトラの猫。
鉄腕アトムに因んで賢明で強くなるようにという事らしい。
でも寄る年波には、勝てずここ1ヶ月体調を崩し、嫌々ながら通院中。
病院の先生方は、とても16歳には見えないね、毛艶も良いといつも褒めてくれる。
褒められるのは嬉しいけど先生のリップサービス、リップサービスと戒めている。
でも病院の待合室で患者のお母さんにも僕の顔が若いって驚かれた。
どうやら僕は本当に年相応に見えないようだ。特別にエステもやっていないし、それほど手を掛けてもらっているようには思えないんだけど・・・。
唯一思い当たるのは、お母さんと一緒にスターリミルクを15年食べ続けている事だけ。
お陰で殆ど大病もせず、若くいられたってことかニャン。
でもまだ通院中、頑張るニャン!

 
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