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『ボケない100歳 2309人がやっていること』

2020年12月14日


白澤卓二
株式会社アスコム
880円(税別)



「人生100年時代」。ここ数年、よく耳にする言葉のひとつです。ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子どもの半数が107歳を超えて長生きすると推計されており1)、日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えています2)。せっかく長生きするなら、誰だって、認知症になったり寝たきりになったりせず、心身ともに健康で生き生きと暮らし続けたいですよね。今回ご紹介するのはそんな生き方のヒントになりそうな本です。

著者で、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二さんは、日本における予防医学や老年医学の第一人者で、80歳で3度目のエベレスト登頂に成功したプロスキーヤーの三浦雄一郎さんの主治医も務めたことがあります。著書も多数ありますが、今回はその中から、タイトルだけでも興味をそそられる『ボケない100歳 2309人がやっていること』をご紹介します。

この本の中で白澤さんは、自身のライフワークは「どうしたらボケないで元気に100歳まで生きられるか」の研究であると述べています。そのために今まで多くの「アラ100(100歳前後)」の人達に実際に会って、その暮らしぶりや長寿の秘訣を見聞きしています。それらのエピソードや、公的な資料などから得られた合計2309人分のデータをもとに、この本は書かれています。それでは健康な百寿者(100歳以上の人)はどのように100歳への道を歩んできているのでしょうか。

まず、健康寿命への影響が大きいと思われる食べ物についてです。多くの健康な百寿者が心がけていたこと、または、結果的にやっていた食習慣の代表的なものを示します。


• 1日3食、バランスよくなんでも食べる
健康な百寿者の9割が1日3食きちんと食べ、実に6割の百寿者が毎日果物を食べていたそうです。果物にはポリフェノールのような抗酸化物質が多く含まれています。

動物性脂肪たっぷりの、こってりした食事をしているフランス人の心疾患死亡率が低いのは、ポリフェノールが多く含まれた赤ワインとチョコレートのおかげといわれているそうです。史上最長寿の122歳まで生きたとされるフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんもチョコレートが大好きで最晩年の10年間、1週間に900gのチョコレートを食べ続けていたそうです。

一方、日本では、国民的長寿アイドルだったきんさん、ぎんさんをはじめ、多くの百寿者は魚が大好きで、EPAやDHAといった多価不飽和脂肪酸が豊富なイワシ、サバ、サンマや、「史上最強」といわれる抗酸化作用を持つアスタキサンチンが豊富なサケを大量に食べています。プロスキーヤーで、101歳で天寿を全うした三浦敬三さんは、総入れ歯になった後も圧力鍋などでサンマなどを大量に炊いて毎日少しずつ、骨まで食べていました。

また、健康な百寿者の多くが心がけていたこととして、1日1回は家族や友人と楽しくごはんを食べることも挙げられます。意識して身近な人とご飯を食べる機会を作ることが大切です。


• よく噛んで、腹7分目を心がける
食事の際、きちんと咀嚼(そしゃく)すると顎が動くことにより、脳の血流が増し、長寿遺伝子が活性化されるそうです。また、唾液の分泌も促進され、唾液中の免疫物質により病気にかかりにくくなります。きちんと噛むことはアンチエイジング体操といえそうです。

120歳まで生きたとされる泉重千代さんの長寿の秘訣のひとつは、腹7分目を守ることだったそうです。実際、カロリーを制限したほうが、長寿遺伝子が活性化することが証明されています。



ご自身の食生活と照らし合わせてみると皆さんはどの程度実行できていますか。次は、百寿者の生活習慣や気持ちの持ちようについてご紹介します。


• 万事クヨクヨせず、常に「今が一番幸せ」
泉重千代さんの長寿訓の最初の言葉は「万事クヨクヨしない」だそうです。白澤さんが今までに出会った元気な百寿者の中に、クヨクヨタイプはひとりもいなかったそうです。常に良いことや成功体験に目を向け、自己肯定感が強く、苦手だったことや失敗は忘れている人が多いとか。それを象徴するのが、多くの百寿者が「今が一番幸せ」と答えているという事実です。


• ユーモアのセンスと笑いを忘れずに
またまた泉重千代翁の例ですが、「女性はどういうタイプがお好きですか」と聞かれた時の返事がふるっています。「やっぱり、年上の女かのぉ」がその答えだったとか。また、きんさん、ぎんさんが「出演料はなにに使われますか?」と聞かれ、「稼いだお金は、老後に備えています」と答えた逸話も紹介されています。笑いは自律神経をととのえ、免疫力を高めて病気を治すというデータも世界中で報告されています。


• いつまでも「ときめき」を忘れずに。退屈は一番の敵
122歳まで生きたとされるフランスのジャンヌ・カルマンさんは、長寿の秘訣を聞かれて、「笑うことと退屈しないこと」と答えたそうです。退屈してぬるま湯生活を送っていれば頭も体もたちまちボケる、と白澤さんは述べています。人間は手と舌を使う神経細胞の数が最も多いのだとか。積極的に音読したり、文章を手書きしたり、習字、料理、楽器演奏、囲碁・将棋、おしゃべりなどを楽しみましょう。百寿者には、新聞をよく読み、日記をつける、手紙を書く、俳句・短歌を趣味とするなど、書くことが好きな人が多いのです。「読み書き」は生涯、脳をイキイキさせます。

また、何か生きがいを持って「ときめき」を感じ続けていれば、そうでない人に比べ、脳に新たな神経細胞が5倍も多く生成される、というデータがあるそうです。「ときめき」といえば恋愛。106歳まで長生きした国文学者の物集高量(もずめ たかかず)さんは、100歳を超えてからも26歳の恋人との恋愛を謳歌したそうです。

いくつになってもおしゃれや身だしなみを気にかけることも、多くの健康な百寿者に共通しています。銀座のバーのママとして101歳で亡くなる直前までお店に立っていた有馬秀子さんは、いつもきれいにお化粧をして透明なマニキュアをし、動くたびにシャネルのトワレが香るような人だったそうです。年をとるほどおしゃれに気を遣いたいものです。


では最後に、元気な100歳の運動習慣とはどのようなものでしょうか。


• 運動はいつ始めても遅すぎることはない
50代で初めて運動習慣を持ったとしても、運動を続ければ体力も俊敏性も確実にアップし、70歳、80歳、90歳までも持続します。92歳で陸上競技を始め、100m走で29秒83という100歳以上105歳未満の世界記録を保持していた宮崎秀吉さんは、友人が次々と亡くなってしまったことで、趣味だった囲碁の相手がいなくなり、1人でできる趣味を、と思い立ったそうです。

年をとったら体の内部の筋肉を鍛えるゆっくりしたバランス運動がおすすめです。スポーツクラブのマシンエクササイズよりもバランスボール、ヨガ、片足立ち、スクワットなどを毎日、時間をみつけて継続しましょう。

また、カラオケなどで歌を歌うことは、腹式呼吸により心肺機能が高まり、歌詞を暗記して歌うことでさらに脳が刺激されます。力いっぱい歌うと1曲で100mのジョギングをするほどの有酸素運動となるのだそうです。


「人生100年時代」を生きるとは

百寿者にもなれば、家族はとうの昔に亡くなってしまっている人も多いものです。ジャンヌ・カルマンさんは、亡くなる半世紀以上前に娘にも夫にも、孫にすら先立たれています。白澤さんは、「寂しい身の上でも寂しがらない。よい意味で強気で生きている」のが元気な百寿者であるとしています。そして「その日」が来ると穏やかに逝く。健康な百寿者に共通しているのはこのような大往生です。

こうして健康な100歳の生き方を見てくると、なんだか力が湧いてきませんか? 医学の進歩によってただ生かされて100歳になるか、それとも自分自身で選び取った生き方を貫いて100歳になるか。それこそが「人生100年時代」を生きる私達に突き付けられた問いなのかもしれません。

1) Human Mortality Database, U.C. Berkeley (USA) and Max Planck Institute for Demographic Research (Germany)
2) 厚生労働省 「人生100年時代」に向けて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207430.html
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白澤 卓二(しらさわ たくじ)
お茶の水健康長寿クリニック 院長
白澤抗加齢医学研究所 所長 医学博士

1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。
1990年同大学院医学研究科博士課程修了、医学博士。
東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長などを経て、2007年より 2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座 客員教授。著書に、『女が100歳までボケない101の習慣』(アスコム)、『長寿遺伝子をオンにする生き方』(青春出版社)、『百寿力 長寿遺伝子のミラクル』(東京新聞出版局)など多数。



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2020年1月24日
事務局 さん

りょうさん


ありがとうございます。
いよいよ東京オリンピック・パラリンピックまで半年となりました。
スポーツはする側も見る側も楽しむだけでなく、感動や勇気を与えてくれるので人々の心を豊かにしてくれるですね。
オリンピック・パラリンピックでは、沢山の選手の熱い闘いを目と心にに焼きつけたいものです。


2019年12月26日
りょう さん

全神経を集中させる静寂の競技「ゴールボール」は面白そうですね、このような障がいの有無を問わず同じ条件で健常者も楽しめる競技が増えることは、スポーツの豊かさにつながり、オリンピック・パラリンピック本来のものと思います。たのしみにしています。

2018年4月20日
りょう さん

 写真家ヨシダナギさんについてのコラム、大変興味深く読ませていただきました。被写体を単に外側から撮るのではなく、自らも被写体と一体となって内側から撮る写真には、たぶん実相が映されているでしょう。是非、写真展を観にいこうと思います。ありがとうございました。

2016年6月29日
りょう さん

アドラー心理学が注目されているようですね。「嫌われる勇気」という言い回しが現代受けするからでしょう。その根底には、目的論があり、西洋は依然としてこの2項対立構造から脱していない。親鸞の「悪人正機説」を2項対立的に受け止めてはいけないように、「利己的な私は嫌われても仕方がない」という自覚が根底にないと、厚顔無恥な人間ばかりを生み出すように思われる。

2016年3月8日
事務局 さん

小春さん

こんにちは。

紹介した本にご興味をもっていただいてありがとうございます。

親子の間では、照れくさくて優しい言葉をかけにくいものですが、大きな病気をした人の気持ちを思いはかり、寄り添うことは大切なことですね。

また、本を読んだら、感想をお寄せください。


事務局

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