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よくわかる 最新医学
統合失調症

2018年3月20日

統合失調症

春日 武彦 監修
主婦の友社  
1,400円(税別)

今回ご紹介するのは、精神科領域の病気「統合失調症」について書かれた1冊です。
以前は、統合失調症は精神分裂病と呼ばれていました。しかし、この名称はインパクトが強いため、患者さん本人もご家族も受け入れにくいという面がありました。また、「精神が分裂する」というイメージを与えるため、世間からの誤解も生じやすいという弊害があり、2002年に改められました。

本著によると、2014年に行われた患者調査(厚生労働省)で、約77万人の方が統合失調症の治療を受けていることがわかりました。医療機関を受診していない人を加えると、統合失調症の患者数は100万人ともいわれています。決して珍しい病気ではないのです。
誰もがかかる病気であることを理解して、統合失調症の正しい知識を得ることは、現在統合失調症を抱えている人が、地域で暮らしやすくなる第一歩になるのではないでしょうか。
そのためにも、本著をご一読いただけたらと思います。

統合失調症は、直接の原因がないのに考えや気持ちがまとめられなくなり、そのような状態が長くつづいてしまう病気です。そのため、行動がぎくしゃくして、患者さんは困難や苦痛を感じます。考えや気持ちが、うまくまとめられなくなるため、周囲の人とのコミュニケーションが取れなくなり、周囲から受け入れられなくなることがあります。
そこで、本著では、「早く気づけば、悪化を防げる」と題して、早期発見・早期治療の重要性を述べています。発症後、早めに適切な治療を行うことで、重症化を防ぐことができるのです。重症化を防ぐことができれば、これまでと同じ環境で生活をすることも可能です。

病気に早く気づくためには、症状等を含めた病気の知識が必要です。また、統合失調症の患者さんは、自分が病気という意識がないことも少なくないため、周囲の人の気づきが求められます。
一方で、周囲が病気に気づいても、本人に自覚がなければ受診を拒むケースがありますが、本著ではそのような場合の対応についても紹介しています。

統合失調症の治療の基本は、薬です。薬の治療を始める前には、副作用も含めて、薬について医師から説明を受けましょう。そのときに、家族も一緒に説明を受けておくと、安心して治療に臨むことができます。また、生活技能や職能技能を学ぶリハビリテーションも、治療の一環として行うことになります。精神科の疾患は、治療が長期間に及ぶことが多いため、医師とのコミュニケーションや医師と患者の相性というものも大切です。

本著の巻末には、監修の春日先生が、患者さんやその家族からよく受ける質問と回答をまとめています。具体的な質問と、その回答を読むことで、似たような状況になった場合の手助けになるでしょう。

昔は、統合失調症になると、何十年も入院を強いられる患者さんが少なくありませんでした。現在は、地域で暮らしながら療養するように、徐々にシフトしてきていますが、まだ周囲の理解は十分ではありません。病気を抱えている人が、ほかの人と同じような環境で生活するためには、どちらもその病気を知ることから始まると考えられます。

統合失調症は、精神分裂病という名称から変化した後も、誤解や偏見を受けやすい病気のひとつです。
同じ精神科領域の病気でも、うつ病は、社会情勢によって患者数に増減がありますが、統合失調症は、平和な時代も戦争の時代であっても、そして世界的にもほぼ一定の割合(100人に1人)で患者さんがいるといわれています。
統合失調症の方の発想の飛躍は、文学や芸術によい作用をしています。現代アートの最高峰の1人である草間彌生も幻視や幻聴に悩まされて、それを作品に投影しています。草間彌生のように優れた作品を残せば、幻視や幻聴も「才能」と呼ばれますし、それを多くの人が賞賛します。
しかし、草間のような表現方法をもたない多くの人たちのなかにも、異能の才が眠っているかもしれませんし、発想の飛躍はあっても、多くの人たちと変わらないということを忘れずにいたいと思います。

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春日 武彦(かすが・たけひこ)京都生まれ。成仁病院院長。
日本医科大学卒業。産婦人科医として6年勤めた後、精神科医となる。東京都立松沢病院精神科部長、東京未来大学子ども心理学科教授を経て、現在に至る。
おもな著書に『不幸になりたがる人たち』(文藝春秋)、『病んだ家族、散乱した室内』『援助者必携 はじめての精神科』(医学書院)、『私家版精神医学事典』(河出書房新社)など。専門書のほかにも、エッセイなどの著書も多い。



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2018年4月20日
りょう さん

 写真家ヨシダナギさんについてのコラム、大変興味深く読ませていただきました。被写体を単に外側から撮るのではなく、自らも被写体と一体となって内側から撮る写真には、たぶん実相が映されているでしょう。是非、写真展を観にいこうと思います。ありがとうございました。

2016年6月29日
りょう さん

アドラー心理学が注目されているようですね。「嫌われる勇気」という言い回しが現代受けするからでしょう。その根底には、目的論があり、西洋は依然としてこの2項対立構造から脱していない。親鸞の「悪人正機説」を2項対立的に受け止めてはいけないように、「利己的な私は嫌われても仕方がない」という自覚が根底にないと、厚顔無恥な人間ばかりを生み出すように思われる。

2016年3月8日
事務局 さん

小春さん

こんにちは。

紹介した本にご興味をもっていただいてありがとうございます。

親子の間では、照れくさくて優しい言葉をかけにくいものですが、大きな病気をした人の気持ちを思いはかり、寄り添うことは大切なことですね。

また、本を読んだら、感想をお寄せください。


事務局

2016年3月8日
小春 さん

『親ががんになったときに読む本』もう少し早くに出版してほしかったです。

母ががんになったとき、医師とのパイプ役はがんばって務めたつもりですが、がんになった親の気持ちにまでは寄り添えなかったかもしれません。

反省を込めて、読んでみようと思います。

2014年3月4日
小春 さん

『イラクサ』というタイトルから、ひと癖もふた癖もありそうな小説ですね。

読んでみようと思います。

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