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サンシャワー:東南アジアの現代美術展 
1980年代から現在まで

2017年9月21日

東南アジアの歴史とアート


2017年はASEAN(東南アジア諸国連合)設立50周年にあたります。それを記念して東南アジア現代美術展、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」が東京の2つの美術館で開催されています。
ちなみに、現在、ASEANに加盟している国は、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10カ国。EU(欧州連合)やNAFTA(北米自由貿易協定)といった他の地域経済統合体と比べ、経済規模は小さいものの、人口はもっとも多く、今後の経済の発展が期待できるとともに、すでに大きなエネルギーを孕んだ地域であることがわかります。

展覧会タイトルの「サンシャワー」は、天気雨のことです。天気雨は燦燦たる陽射しのなか雨が降るという気象ですが、この地域では頻繁にみられます。笑顔の中に涙を見るのか、雨に濡れながらも来るべき晴天を心強く待つのか、サンシャワーという一語からはさまざまなことが想像されます。

ASEAN加盟国のうちタイを除く9カ国は、植民地化された歴史があります。さらに太平洋戦争時には激戦地となり、多くの一般人が巻き込まれていきました。その後も冷戦下の戦争や内戦を経て、民主化へとダイナミックな歩みをしてきました。これらの動きは経済発展にも人々の精神性にも大きな影響をもたらしたことでしょう。
振幅の大きな歴史のなか、変わったことと変わらざること、どちらも抱えていることで、多様なアート表現が生まれたように思います。

作品に触れて、直感で受けとめよう


今回の展覧会の会場は、東京六本木の国立新美術館と森美術館の2カ所で同時開催しています。1枚のチケットで、どちらも観ることができます。両美術館は徒歩10分圏内なので、1日で観てまわることもできますし、別の日にそれぞれじっくり観ることも可能です。

展覧会会場は、「うつろう世界」「情熱と革命」「さまざまなアイデンティティー」「瞑想としてのメディア」などテーマごとに分けられてはいますが、さまざまな歴史の歩み、異なる民族性などの背景を考えなくても、目の前にある作品をそのまま受け取ることで、東南アジアに原点・拠点をもつアーティストたちの思いを感じられるのではないでしょうか。


タイのワサン・シッティケートの作品「失われた情報」。このオブジェのバックには、1976年にバンコクで起こった学生デモの鎮圧をモチーフにした絵画作品「青い10月」が掛けられています。この事件では多くの死傷者が出たということで、「微笑みの国」と称されるタイの暗黒の歴史の一端を知ることができます。


シンガポールに生まれたリー・ウェンの作品「奇妙な果実」。真黄色に足を染めた作家自身がこの赤い提灯の集合体をかぶり、街中を徘徊するパフォーマンスは「イエローマン」と名づけられています。このパフォーマンスを通して、黄色人種である作家がアイデンティティーを探っていきます。


カンボジアに生まれたソピアップ・ピッチの作品「ビッグ・ベン(大きなメンガ)。ローズウッドによく似た木であるベン(メンガ)を用いた彫刻です。藤や竹などを使った彼の作品は、カンボジアのアートの近代以前から現在までの連続性を表しているそうですが、そのようなことを知らなくても、今回の作品からは大きな造形物でありながら風通しがよく、二つの造形物が重なることで濃くなる輪郭、同じ形の大理石のオブジェを俯瞰し、凝視することで感じたことを、一人ひとりが受けとめればよいように思います。


フィリピンのフェリックス・バコロールの作品「荒れそうな空模様」。天井から1200個の風鈴が吊り下げられたインスタレーションからは、展覧会タイトルのサンシャワー(天気雨)が連想されます。展示室には風が流れ、風鈴の音が響きます。美しさのなかに不穏な空気も感じられます。


タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンと、同じくタイのチャイ・シリの作品「サンシャワー」。アピチャッポンは、カンヌ映画祭のパルム・ドールをタイ人で初めて受賞した映画監督でもあります。作品は、この展覧会のために制作されたもので、タイでは神と崇められている白象をモチーフにしています。あまり白く見えませんが、白象だそうです。非常に重たい象が宙に浮くことで、夢と現が交錯します。


展覧会では、ほかにも多くの絵画作品や映像作品、インスタレーション等々を観ることができます。映像作品などは作家の考えが伝わりやすいため、速効的な刺激があります。植民地という経験を経た国と日本ではメンタリティの違いも感じますし、「なぜ、自分は東南アジアのこれらの国ではなく日本に生まれたのか」という自らのアイデンティティーを振り返るきっかけともなります。

「現代アートは難しい、わからない」という声を聞きますが、作家の心を反映したアート作品をわかろうとすることは、作家の心に寄り添うことでもあります。そこまでしなくても同時代に生きる人たちの作り上げたものを観て、そこから何か感じることがあれば、それでよいように思います。直感を信じて、東南アジアの現代アートに触れてみてください。

サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで

◆会  期:7月5日~10月23日(月)
◆会  場:新国立美術館、森美術館
◆開館時間:新国立美術館10:00~18:00(金曜日・土曜日は21:00まで)
      森美術館10:00~22:00(火曜日は17:00で終了)
◆休館日:新国立美術館 毎週火曜日
     森美術館 会期中無休
※詳しくはそれぞれの美術館のホームページをご覧ください。
国立新美術館 http://www.nact.jp/exhibition_special/2017/sunshower/
森美術館 http://www.mori.art.museum/jp/index.html



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2016年6月29日
りょう さん

アドラー心理学が注目されているようですね。「嫌われる勇気」という言い回しが現代受けするからでしょう。その根底には、目的論があり、西洋は依然としてこの2項対立構造から脱していない。親鸞の「悪人正機説」を2項対立的に受け止めてはいけないように、「利己的な私は嫌われても仕方がない」という自覚が根底にないと、厚顔無恥な人間ばかりを生み出すように思われる。

2016年3月8日
事務局 さん

小春さん

こんにちは。

紹介した本にご興味をもっていただいてありがとうございます。

親子の間では、照れくさくて優しい言葉をかけにくいものですが、大きな病気をした人の気持ちを思いはかり、寄り添うことは大切なことですね。

また、本を読んだら、感想をお寄せください。


事務局

2016年3月8日
小春 さん

『親ががんになったときに読む本』もう少し早くに出版してほしかったです。

母ががんになったとき、医師とのパイプ役はがんばって務めたつもりですが、がんになった親の気持ちにまでは寄り添えなかったかもしれません。

反省を込めて、読んでみようと思います。

2014年3月4日
小春 さん

『イラクサ』というタイトルから、ひと癖もふた癖もありそうな小説ですね。

読んでみようと思います。

2013年4月2日
さと ちゃん

池上さんの番組は非常にわかりやすいなぁと思っていましたが、

伝え方がよいのかもしれませんね。

自分でも日常生活で「伝えたつもり」で失敗することがあります。

せっかくご紹介いただいたので、手に取って読んでみて、

今後に生かせればいいな。

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