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気になるカラダの症状

ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームってなに?

写真 ロコモティブシンドロームという言葉をご存知ですか?
「メタボリックシンドロームは知っているけど、ロコモティブシンドロームってなに?」という方、まだまだ多いと思います。
ロコモティブシンドローム(以下、ロコモと略)とは、加齢によって骨、筋肉、関節といった運動器や脳からの動きの指令を伝える神経などの機能が衰え、そのために立ち上がったり、歩いたりといった動きがおぼつかなくなることをいいます。「足腰が弱ってきて……」という言葉を耳にしますが、まさしくその状態ですね。このような状態になると、転倒しやすく、骨折もしやすくなるため、QOL(生命の質・生活の質)を損なうばかりか、要介護状態(寝たきり)の危険が高まります。

健康維持にはメタボ+ロコモの対策を

内臓疾患を予防するためのメタボ対策と運動器の健康を維持するためのロコモ対策はどちらもシニアの健康維持には欠かせないものです。
ロコモの原因には「バランス感覚の低下」「筋力の低下」と「骨や関節の病気」の3つが考えられています。

高齢社会を迎えた今、医学の進歩でこれまで治らないとされてきた病気にも治療法ができ、昔よりも病気がそのまま死に直結することが少なくなりました。とても喜ばしいことですが、実は私たち人間の体、とくに骨や筋肉、関節などの運動器の耐用年数は、現在の平均寿命である80歳前後には追い付いていないようなのです。ですから、日常的にトレーニングを行い、バランス感覚や筋力など運動器の機能を維持していかなくてはならないのです。

ロコモの原因になる骨や関節の代表的な病気について、みていきましょう。

静かに忍び寄る骨粗鬆症

写真 骨の量が減り、骨の質が劣化すると骨の強度が低下します。このような状態を骨粗鬆症といい、骨粗鬆症になると骨折の危険性が高まります。
『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2006年版』では、骨粗鬆症の患者数は780万~1,100万人と推定されており、身近な病気であることがわかります。また、高齢化に比例して今後さらなる患者数の増大が懸念されています。

成長期を過ぎれば、骨の成長は止まると思っている人もいるかもしれませんが、実は、大人になっても私たちの体の中で骨は、古い骨を融かし、新しい骨をつくるという作業が続けています。このように新陳代謝することで、骨は強度を保つのです。

ところが、年齢を重ねると、融けだす骨に対して、つくられる骨の量が追い付かなくなり、結果、骨量が減ってしまいます。とくに女性の場合、閉経を迎えると女性ホルモンのエストロゲンが減少し骨量も急激に減少します。加齢により、骨質も低下する傾向にあります。

でも、そのようなことが体の中で起きていたとしても、この時点では症状はありません。だからこそ、早期発見のために、女性ならば40歳を過ぎたら、骨粗鬆症検診を受けることが推奨されています。

また、次のような症状があったら、念のため病院で検査を受けましょう。
□ 身長が縮んだ
□ 背中や腰が丸くなった
□ 背中や腰が痛む

骨粗鬆症の診療は、おもに整形外科、婦人科、内科などで行われます。診断に必要な検査は、エックス線や超音波による画像診断であるため、痛みを伴うこともなく、比較的簡便なものです。

骨粗鬆症は薬・食事・運動で改善

骨粗鬆症の治療目的は「骨折予防」です。骨粗鬆症になると、わずかな衝撃で骨折してしまいます。どこの骨を折っても生活に支障が起きますが、とくに大腿骨頸部(脚の付け根)を折ると、そのまま寝たきりの状態になることも少なくなく、要介護の原因の高位になっています。骨粗鬆症の治療は薬による治療と食事療法、運動療法があります。

による治療を受ける場合は、医師の説明のもと用法・用量を守り服用します。
過剰に骨が溶けだすのを防止するはたらきがあるビスホスホネート製剤は、骨粗鬆症治療にもっとも使用されている薬剤で、毎日服用するタイプと週に1回服用するタイプ、4週に1回服用するタイプがあります。ほかにも女性ホルモンのエストロゲンに作用する塩酸ラロキシフェン、骨折予防が期待できる活性型ビタミンD3製剤などがあります。

食事に関しては、栄養バランスのよい食事を心がけ、そのうえで、カルシウムビタミンDビタミンKを積極的に摂取しましょう。そのうえで、高齢者ではタンパク質の摂取量が少ないことが骨量減少を助長している場合もあるので、意識的にタンパク質を摂取するよう心がけましょう。

骨粗鬆症の治療のためのカルシウム、ビタミンD、ビタミンK摂取目標量

はたらき 1日の摂取目標量 それぞれの成分を多く含む食品
カルシウム 骨や歯をつくるのに必要なミネラル。小腸から吸収される。 800mg 牛乳、乳製品、小魚、豆腐、納豆、小松菜など
ビタミンD カルシウムの吸収を助けるはたらきがあり、ビタミンDが不足すると骨を弱くし、骨軟化症や骨粗しょう症などの原因になる。ビタミンDは紫外線に当たると体内で合成される。 400~800IU きくらげ、サケ、ウナギのかば焼き、サンマなど
ビタミンK カルシウム代謝に作用する。ビタミンKは骨の健康維持に欠かせない成分で、骨からカルシウムが減少しすぎないように作用する。ビタミンKが不足するとカルシウムの吸収を悪くし、骨を弱くさせることになる。 250~300μg 納豆、ほうれんそう、小松菜、にら、ブロッコリーなど

運動を継続的にすることで、骨量低下を防ぎ、骨量の維持・増加を図ることができます。ある程度の負荷を骨にかけることによって、強度を増し、生成を促します。閉経後の女性が定期的な運動をすることで、腰椎、大腿骨頸部の骨量減少を予防する効果がみられたと、過去に行われた複数の研究データの再解析によって結論づけられました。中等度の運動(ウオーキング、ランニング、エアロビクスなど)が、とくに腰椎の骨量低下を防止するという報告があります。

ですが、もともと運動習慣をもたない人が、にわかアスリートになっても長続きしないことがあります。エスカレーターではなく階段を利用する、車には極力乗らず、電車、バスなどの公的交通機関を利用する、散歩を楽しむといった本格的な運動ではなくても、日常生活を見直すことによって運動量は増加します。運動によって健康増進を図る場合、継続性がなによりも効果を生むのです。

骨は一日にしてならず! 今日から

骨粗鬆症予防には、先ほど述べたようにバランスの良い食事+カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの積極的な摂取と、日常的に適度な運動を行いましょう。

ただし、それらの効果はすぐに現われるものではありません。毎日の積み重ねが大事なのです。10代の頃に無理なダイエットなどで必要な栄養を摂取しなかった場合、骨が脆弱化していて骨粗鬆症のリスクが高いといわれています。「骨は一日にしてならず」です。あなたを支えている骨の健康を真剣に考えてみてください。

また、骨粗鬆症は女性の病気という印象をもっている方が少なくありませんが、女性は男性よりも骨が華奢なため症状が現れるのが早いだけで、男性でも高齢になるにつれて、骨密度の減少が顕著に現われます。骨粗鬆症は女性の病気という思い込みは捨てて、ご家族揃って骨の健康に気を配るようになさってください。

膝の痛み、年齢のせいにしていませんか?

写真 「膝が痛くて正座ができない」「階段の上り下りがおっくう」と、痛みに悩まされながら、年齢のせいとあきらめている人はいませんか? その痛み、変形性膝関節症という病気です。

これまで日本では変形性関節症に関する大規模な疫学調査が行われていませんでした。2005年より東京、和歌山県の山村部、漁村部の3か所に住む住民3,040人(解析対象は50歳以上の2,843人)を10年間追跡調査した結果、変形性膝関節症の有病率は男性で44.6%、女性で66%でした。そこから2004年の日本人の年齢別人口をもとに試算したところ、男性840万人、女性1,560万人、併せて2,400万人の変形性膝関節症の患者さんがいることが推定されました。

膝関節のはたらき

骨はわたしたちのからだを支えていますが、骨だけでは姿勢を維持することも動くこともできません。関節が骨と骨をつなぎあわせて動けるようにしているのです。このつなぎ目全体は関節包という袋状の組織に包まれています。

関節包には骨と骨がじかに触れ合うことのないようクッションのように保護する関節軟骨があり、さらに関節の動きをスムースにするための潤滑油(滑液)が分泌されています。これら精密機械のような関節ですが、耐久性には限度があり、時間の経過とともに劣化していきます。

とくに立つ、座る、歩くなど日常の動作に深くかかわる膝関節への負担は大きく、歩くときには、体重の2、3倍の荷重が膝にかかるといわれています。長年、このような負荷がかかることで関節軟骨は磨り減っていくのです。関節軟骨のクッション効果が弱まると、きしみや痛みが生じます。

変形性膝関節症のリスク

変形性膝関節症の症状は「痛み」です。最初のうちは、立ち上がったりするときの違和感程度ですが、次第に痛みが強くなり、正座ができなくなったり、膝の周辺が熱っぽくなったり、膝に水がたまったりします。ひどい場合は、動かさなくても強い痛みがあり、関節の変形が見た目にもわかるようになります。

変形性膝関節症のリスク
変形性膝関節症のリスク

これらのリスクのうち、加齢や女性であることは変えられようのないものですが、体重をコントロールしたり、膝に負担がかからない程度の運動(ウオーキングなど)を始めたりと、生活を見直すことで軽減できるものもあります。

変形膝関節症の治療とケア

変形性膝関節症の治療には、次のようにいくつかあります。症状の程度やそれぞれの方のライフスタイルによって治療を検討していきます。痛みがひどく、これまで通りの日常生活を送れないようでしたら、薬で痛みをとる、重症のケースでは手術をするという選択もあります。

日常生活の改善

体重コントロール、膝に負担がかからない生活様式への変更など、日常生活を見直してみます。

布団よりもベッド、和室で正座よりも洋室で椅子の生活のほうが膝への負担を軽減します。

運動による改善

膝関節に負担をかけないためにも周囲の筋肉を鍛えることが推奨されています。太ももの筋肉をつける。ウオーキングで歩く習慣をつける。膝の動きをスムースにするための柔軟体操などを行います。運動を始めてすぐに効果が出るものではありませんので、運動習慣を身につけるようにしてください。ただし、痛みのあるときには運動を控えるようにします。運動をすることで体重コントロールもできれば、膝への負担が軽減されます。

お薬による改善

痛みが強いときは、鎮痛薬などで痛みを和らげるようにします。ほかには、ヒアルロン酸を注射すると潤滑油のようなはたらきをし、膝の痛みは軽減されます。膝の曲げ伸ばしがつらい、正座ができない、痛みで動くことがおっくうだ、という方は一度整形外科を受診して相談してみてください。

その他の方法による改善

炎症を起こしているときは湿布などで冷やします。炎症のない場合は、温めて血行をよくすることで痛みが軽減することがあります。サポーターなどで膝を安定することで負担が軽減する場合もあります。

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